最高裁判所第一小法廷 昭和26(オ)496 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士所恭之介の上告理由について。
原判決の確定するところによれば、もとDの所有であつた本件農地につきa村農
地委員会は昭和二二年七月二二日Dを名宛人とし同人が不在地主であることを理由
として買収計画を樹立し、次いて茨城県知事は同年一〇月二日Dに対し右農地を買
収する旨決定し、その買収令書が昭和二三年四月二二日訴外E(後記のごとくDの
相続人の一人)に交付されたこと、然るに右Dは前示買収計画の樹立される以前、
昭和二二年五月一九日すでに死亡しており、上告人は右E外二名とともにその相続
をしていたというのである。
然らば、前示買収計画のなされた当時、本件農地の所有権は名宛人たる前示Dに
は無く、右相続人らに帰属していた筋合であるからD宛になされた前示買収処分は
名宛人を誤つたかしある行政処分といわざるを得ない。
しかしながら、それだからといつて、前示買収処分は無効のものと解すべきでは
ない。けだし、原判決が確定した前示の如き場合においては上告人を含む前示共有
者らは前示買収計画又は買収処分に対し自作農創設特別措置法所定の期間内にこれ
が取消を求めるため不服の申立をなし得た筈であるに拘らず、右共有者らがかかる
不服申立をした形跡のない本件にあつては、前示買収処分は有効に確定し、従つて
本件農地の所有権は国に帰属し、もはやこれを争う余地がなくなつていると解する
を相当とするからである。この理はすでに当裁判所判決の趣旨とするところである
(昭和三三年四月三〇日大法廷判決参照)。
さすれば前示買収処分を無効ではないとした原判決は、その理論構成はともあれ、
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その究極の判断は正当である。所論縷述の要旨は結局叙上に反する見解たるに帰し、
採るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 高 木 常 七
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